韓国から世界進出『ビムウィエ』デザイナーに15の質問。ブランドの軌跡、あの大スターとのエピソードも


【WHO WORE BEST=2021/10/22】パリ、ミラノ、ニューヨークと並ぶ、世界4大ファッションコレクションのひとつ「ロンドン・ファッションウィーク」への参加が決定した、新進気鋭のファッションブランド『ビムウィエ(BMUET(TE))』。デザイナーのソ・ビョンムンとオム・ジナが今回、WHO WORE BESTのインタビューに応じた。


『ビムウィエ(BMUET(TE))』とは?

『ビムウィエ(BMUET(TE))』は、2015年にローンチ。韓国の2人組デザイナー、ソ・ビョンムンとオム・ジナによって手掛けられ、既存のルールや型にはまったアイディアから解放し、常に新しい可能性を生み出し続ける“脱構築”のスタイルをコンセプトに掲げている。ドラマチックなシルエット、ボリュームのあるドレス、ひねりを加えたテーラリングのユニフォームルック、繊細なカッティングを用いたジェンダーレスなジャケット、構造的なシャツなどが特徴。世界のセレブも注目する新進気鋭のファッションブランドだ。

1. デザイナーとしてのこだわりを教えてください。

私たちは、既成概念を超えて新しい価値を追求していくことをモットーとしています。デザイナーである限りは、どこでも見ることができるような似たような流行を追うよりも、新たな視点や趣向を表現することで美的価値の本質に挑戦し続けるべきだと考えています。

2. 昔からファッションデザイナーになることが夢だったのですか?

幼い頃は特別にやりたいこともありませんでした。大学生の頃、ヨーロッパ旅行をすることになり、そこで様々なファッションスタイルやブランドを見て感銘を受け、ファッションデザイナーを夢見るようになりました。

3. ファッションデザインの道を選んだ決定的なきっかけはありますか?

ヨーロッパの様々な都市を旅行しながら目の当たりにした、スタイリッシュな人々やブランドから受けた衝撃があまりにも大きく、「自分もそのファッションを真似して着たい」と思ってヨーロッパのブランドとファッションスタイルをたくさんリサーチしたのです。その中で、革新的デザイナーのマルタン・マルジェラやヘルムート・ラング、さらに『コム・デ・ギャルソン』のコレクションや作品に出会い、初めて目にするようなビジュアルやデザインコンセプトに強く惹かれていきました。それがファッションデザインの道を選択したきっかけです。

4. デザイン制作において、インスピレーションはどのように得ていますか?

様々です。古い雑誌、映画、本、街中の人々など。

5. 尊敬するアーティストはいますか?

ファッションデザインの道を志すきっかけを与えてくれた、マルタン・マルジェラ、“シュルレアリスム”にあふれた作品でおなじみのファッションフォトグラファー、ティム・ウォーカー、そして映画監督のティム・バートンです。自分にない新たな視点を提供してくれる彼らの作品には、大きな影響を受けました。

6. 『BMUET(TE)』の服作りでいちばん大変だったこと、嬉しかったことを教えてください。

最初のシーズンは一緒に働くスタッフがおらず、2人ですべての作業をしたことをよく覚えています。パターン製作、生地決定、サンプル製作まですべての作業をこなすべく、夜遅くまで苦労しながら取り組みました。

また、そうやって苦労して作ったコレクションが自分たちの思い通りに上手くいった時は、やっぱりいちばん嬉しいですね。デザイナーなら誰しもそうだと思います。

7. デビューから今までを振り返って、とくに記憶に残っているファッションショーについて教えてください。

17-18AWシーズンのことですが、イタリアで開催される世界最大級のメンズプレタポルテ見本市「ピッティウォモ(Pitti Uomo)」に招待され、フィレンツェでファッションショーを行ったことがあります。その際「ピッティウォモ」の全面的な支援により、「TIME」「VOGUE ITALIA」のような主要メディアと顔を合わせることができ、また個性豊かないろんな人たちと仕事ができて、最もアクティブなファッションショーでした。

8. 先日の「2022 S/S ソウルファッションウィーク」で印象的だったエピソードはありますか?

コロナの影響によりデジタルランウェイで行われることになったため、撮影場所の選定が困難でした。初めはソウルの歴史的な場所で撮影をする計画でしたが、日程が合わず、結局撮影コンセプトを変更して進行することになってしまいました。大変でしたが、結果的には上手くいってよかったです。

9. また、世界4大コレクション「ロンドンファッションウィーク」への参加、おめでとうございます。今回の取り組みを振り返っていかがでしたか?

ありがとうございます。今回の「ロンドンファッションウィーク」もデジタルファッションショーの形で開催されました。「ロンドンファッションウィーク」はスケジュールが短かったので撮影日程がとても詰まっていて、撮影が終わってから徹夜で編集作業をしたことがいちばん記憶に残っています。

10. アッシャー、ジャスティン・ビーバーなど、世界的なスターが『BMUET(TE)』の服を着用している姿を見た時、当時はどんな気持ちでしたか?

ジャスティンの時は、彼が『BMUET(TE)』の服を着たのを見てファンたちがインスタグラムでタグ付けをしてくれたようなのです。朝起きたら突然いいねとフォローの数が増えていたのを覚えています。ジャスティンがLAのショップを訪れて『BMUET(TE)』の服を購入してくれたことも知りました。予想外のことだったのでビックリしましたし、何よりも服がジャスティンにとてもよく似合っていて嬉しかったです。

アッシャーの時は、ちょうど「パリファッションウィーク」の期間中でショールームでのセールスのためにパリへ出張中でしたが、インスタグラムのタグを通じて、『リック・オウエンス』のファッションショーにアッシャーが『BMUET(TE)』の服を着て参加してくれたということが分かりました。様々な雑誌メディアやアッシャーのファンがタグ付けしてくれたおかげで、良い反応があったようで嬉しかったです。後に個別でアッシャーのスタイリストさんから「服がよく似合っていた」と感謝のメッセージも頂きました。

私たちの追求するスタイルを多くの人々に知っていただく機会ができて、とても嬉しい出来事でした。

11. 日本のファッションについてどう思いますか?

日本のファッションは個性的なデザインが多いと思います。また、いろんなスタイルが共存している印象を受けますね。

12. 好きな日本のファッションブランドはありますか?

『コムデギャルソン』が好きです。革新的なデザインとスタイルから多くのインスピレーションを得ています。

13. 今後、日本とコラボレーションの予定はありますか?

来シーズン、日本のセレクトショップとコラボレーションの話をしています。良い機会になることを期待しています。

14. デザイナーという立場から見た、現在のファッション市場が抱える問題点はどういうところでしょうか?

現在のファッション市場においては、名のあるブランドやデザイナーに関心が集中する傾向があるようです。ブランドそのものの価値や本質よりもマーケティングばかりが注目されるようになってしまうのではないかと懸念しています。有名でなくてもブランドの本質と個性がしっかり評価されるようになってほしいですね。

15. これから挑戦したいプロジェクトや作りたいコンテンツはありますか?

デジタルファッションショーの作業を通して映像制作の魅力に触れることができたので、今後もまた映像制作に取り組んでみたいです。

〜ファッションを愛する日本のファンへメッセージ〜

日本のファッションマーケットは個性豊かで活気に溢れています。これからも日本で会える機会がもっと多くなることを願っています。ありがとうございました。

ソ・ビョンムン(Byungmun Seo)/オム・ジナ(Jina Um)